■ シミュレーション仮説
昨日投稿したコラム「水槽脳仮説」での矛盾=「全て脳が作り出した世界なら、そもそも“その脳”を管理する存在とは何なのか」、この矛盾への一つの答えとして「シミュレーション仮説」というものがあります。
シミュレーション仮説とは、
・この世界はスーパーコンピュータが作り出した世界で、創造主によるシミュレーション、ゲームの世界である
というものです。
創造主の存在する世界と全く同じ物質が出来上がるように計算した世界をコンピュータ上で生成することで、理論上はコンピュータ内に同じ世界が出来上がります。
以下、その仮説の解説を記載します。
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想像してみてほしい。
ここに1台のスーパーコンピュータがある。コンピュータ上の3D仮想空間に宇宙を作り、空間も時間も物理法則もエネルギー量もぼくたちが生きているこの世界と寸分違わぬように設定する。
そしてこの世界の素粒子とまったく同じ形・振る舞いをする素粒子を作り出し、この世界の物質を正確に再現する。
その物質で宇宙を創造し、太陽を創り、地球を創る。
そして地球上に人間を創り、ぼくたちの地球とほとんど変わらぬものになったとしよう。
このシミュレーション空間上の人間=シミュレーション人間の身体組成はぼくたちとまったく変わらない。
身体を構成する脳や臓器・神経系はもちろん、分子・原子・素粒子レベルまで完全に再現されている。
シミュレーション人間にとってあなたは世界を創造した「神」ということになる。
その後、シミュレーション人間はぼくたちと同じようにそのシミュレーションの世界を観察し、物理法則を発見する。
その物理法則を応用することで、ぼくたちと同じように文明社会を築き上げ、ぼくたちの生きる21世紀とほとんど同じ世界を構築する。
そんなシミュレーション人間たちは「世界がシミュレーションである」と知ることができるだろうか?
シミュレーション世界にはぼくたち神が与えたプログラム上の情報しか存在せず、完全に閉じている。
シミュレーション世界の空間はぼくたちのこの世界、神の世界にいっさい通じておらず、神の世界の情報は存在しないし、空間さえも異なっている。
そもそもシミュレーション世界は0と1から構成される仮想空間で、三次元空間・四次元時空でさえない。
シミュレーション人間たちはシミュレーション世界の宇宙を観察して遠大な宇宙構造や極小の素粒子を発見し、深遠な数学的法則を見出し、脳や遺伝子の動きを学ぶことで「世界の謎に近づいた」と考えるに違いない。
しかし、そこで明らかになるさまざまな法則や発見は、ぼくたち神から見ればシミュレーション世界を作るときのプログラム、最初の設定にすぎない。
仮に宇宙のすべてを知ったところで、彼らがぼくたち神の存在に気づく要素はいっさいない。
外部の情報が存在しない以上、シミュレーション人間が「世界がシミュレーションである」と知ることはないし、ましてぼくたち神の存在に気づくこともないだろう。
(哲学的探究14. 思考実験4 ~シミュレーション仮説2、インテリジェント・デザイン仮説~)
https://bit.ly/2IkLBhP
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今自分たちがいるこの世界は「神」と呼ばれる存在が作り上げた閉ざされた世界、シミュレーションの世界ではないか、という仮説です。こちらも水槽脳仮説同様SFではよくあるテーマで、有名なところでは映画「マトリックス」やマンガ「代紋TAKE2」がこのテーマを取り上げた内容です。
この世界に存在する様々な自然法則は本当に微妙なバランス、物理法則で出来上がっています。さらにごく稀にその物理法則を無視した出来事、いわゆる「超常現象」も起こります。
これらがすべて「プログラムの結果、または特殊指示の実行」と考えれば(ある面で)辻褄が合いそうです。
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今回のコラムは「だから、なに?」と言われそうな内容ですが、ちょっとおもしろい話だったのでシェアしますね!